No.9
介護医療院創設、その先にあるものは?
介護療養病床は、「病院」なのに「介護保険」適用であるという性質が問題視され、その廃止が言い続けられてきましたが、受け皿がないまま廃止することは困難であると、継続してきました。
しかしながら、平成30年(2018)年度の診療報酬改定により、新たな介護保険施設である介護医療院が創設され、介護療養病床は6年間の経過措置の期間に廃止することが決定されました。
介護医療院の基本的な位置づけは、病院ではないこと、医療法に規定する医療提供施設であること、介護保険適用施設であるという3点があげられます。実はこの3点を満たす施設はすでに存在します。それは介護老人保健施設、いわゆる「老健」であります。介護医療院と老健は何が違うのでしょうか。
相違点として、看取り・ターミナルまで行う施設かどうかという点があげられます。老健は、本来「中間施設」として「施設」と「在宅」の中間を担う機能が期待されていました。つまり、老健の本来のミッションは在宅復帰でありました。
しかしながら、介護報酬の厳しい改定の中で、老健は経営安定のために稼働率を重視し、特別養護老人ホーム、いわゆる「特養」と変わりがなくなり、その役割が曖昧になってきました。
今回の改定により介護医療院が登場し、老健は在宅復帰のための中間施設という本来の役割に向かい、むしろ回復期病棟との競合になっていく可能性が高いのではないかと思われます。
また、特養は医療提供施設ではないため、入所者がターミナルになると病院へ入院させてしまうケースが見受けられますが、これに対して介護医療院は看取り・ターミナルまでの役割を担う施設として位置づけられており、利用者からみると魅力のある施設と考えられます。
今後、特養は看取りまで視野に入れないと利用者から選択されなく恐れがあります。今回の介護報酬改定においても、看取り関連の評価が手厚くなっていることが注目されます。
介護医療院の登場により、介護療養病床への転換だけでなく介護施設全体の再編成が始まるのではないかと予測しております。
シニアコンサルタント 西尾 雅夫
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