No.10
経営指標の可視化とプロジェクト制の導入について
コンサルタントとして医療機関の経営会議等に参加させていただいたとき、院長が「字が小さすぎて見えない!」と某有名眼鏡会社のCMの俳優さんのように資料を投げ出さないかハラハラするくらい配布された資料が細かい字で書かれていてほとんど読めないことがあります。
そもそも経営会議の目的は、経営課題を明確にし、その課題解決に向けた具体的な取り組みを検討し決定することであります。確かに大量の資料のどこかには経営課題が隠されているとは思いますが、何の説明もなくすべての情報を出されるといったい経営課題は何なのか、優先的に解決すべき課題はどれなのか、まったくわかりません。
確かにデータは病院幹部で共有すべきですが、重要なことはそのデータから経営課題を読み解き、それを可視化することであります。
しかしながら膨大なデータから経営課題を読み解くには、知識と経験に加えて昨今では分析ツールの活用が不可欠になってきます。
我々コンサルタントが顧客に提供する付加価値は、この膨大なデータから経営課題を見つけ出し、実現可能な解決策を提案することであります。経営課題を見つけるポイントは「仮説」を立てることにあります。ただやみくもに資料を眺めるのではなく、論理的な視点で効率よく一つずつデータを確認し、経営課題を抜粋していきます。その中でも特にボトルネックになっている事象をとらえ、解決すべき課題の「優先順位」を付します。そして課題に対する改善策を複数検討し、実現可能なものから提案していきます。
しかしながらコンサルタントがいくら提案しても、院内で実行できないと絵に描いた餅となり、課題を解決することはできません。
また、経営課題は複数の部署が関係していることが多く、改善するためには組織横断的に活動しなければなりません。経営戦略室など専門の部署がある医療機関はいいが、そうでない場合は事務職員が孤軍奮闘し、結局改善にいたらないケースも見受けられます。
委員会や会議では議論はされど、結局実行は各部門が行うことになります。医療機関はセクショナリズムが強く、連携が悪いと「私の部署はできている、他部署がやらないから改善できない。」と批判を繰り返すことに終始することもあります。野球でいうと、ショートが「今の球はセカンドがとるべきだ。私 の守備範囲ではエラーはしない。」と言って、試合に負けても自分は悪くないと主張しているようなものです。
経営課題を改善するためには医療現場のコンセンサスと現場スタッフの当事者意識が重要となることから、多職種によるプロジェクト制を導入することをお勧めします。経営課題ごとにチームリーダーを選出し、リーダーを中心にメンバーを募ります。プロジェクトチームですので必ずしも管理者である必要はありません。むしろこのプロジェクトを通じて管理者としての人材育成につなげることも同時に行うことができます。コンサルタントが直接院内のプロジェクトに参加することは難しいですが、月1回プロジェクトリーダー会議を行い、プロジェクトの進捗管理やリーダーにアドバイスを行うといった支援は可能です。
私たちは専門的な知識や経験をもとに、医療機関の経営課題を明確にし、実現可能な改善策を提案するだけでなく、病院事務経験のあるコンサルタントによる実行支援も行い、成果を出して健全な病院経営をサポートすることで地域医療に貢献していきたいと考えています。
コンサルタント 今田 幸佑
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